【2月21日 AFP】ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領は20日、大統領・議会の両選挙を早期実施する可能性を示唆した。これが実現すれば、野党の最大要求の1つを同大統領が受け入れたことになる。同日には、親欧の反政権デモ参加者60人以上が死亡、同国はソ連からの独立以降最悪の事態に直面している。

 この日同大統領は、ポーランド、ドイツ、フランスの外相と会談。その後ポーランドのドナルド・トゥスク(Donald Tusk)首相は記者団に対し、ヤヌコビッチ氏が「今年早い段階で、大統領・議会両方の選挙を実施することなどに合意した」と明らかにした。

 しかしその直後にポーランド、ドイツ、フランスの外相と会談した野党指導者のビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏は「合意はまだない」と発言。トゥスク首相はウクライナは暴力の連鎖が深みにはまっており、2つの選挙を当初の予定の来年3月から数か月前倒ししたところで不満は収まらないのではないかという懸念も示している。

 一方、ヤヌコビッチ大統領が選挙前倒しを示唆したとされるその直前には、ベルギー・ブリュッセル(Brussels)に集まった欧州連合(EU)の各国外相らが「惨事の責任を負うべき」ウクライナの閣僚や治安当局者らに制裁を科すことで合意した。

 さらに、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が米国のバラク・オバマ(Barack Obama)、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)両大統領と電話で会談し、流血の事態を終わらせるようウクライナに求めていくことで一致した。

 3か月に及ぶウクライナの危機は激化の一途をたどり、18日の夜以降の死者数は100人近くに上っている。そのうちの大半が、首都キエフ(Kiev)で数世紀の歴史を持つ独立広場(Independence Square)でデモに参加し、警察により至近距離で射殺された人々とみられる。(c)AFP/Dmitry ZAKS