【2月20日 AFP】(写真追加)北朝鮮の平壌(Pyongyang)を訪問していたオーストラリア人宣教師が、朝鮮語で書かれたキリスト教のパンフレットを配布していたという理由で拘束されたことが分かった。宣教師の妻が19日、AFPに明らかにした。

 妻のカレン(Karen Short)さんによると、香港(Hong Kong)在住のジョン・ショート(John Short)さん(75)は、中国・北京(Beijing)からツアー旅行で15日朝に平壌入りしていた。16日夜に北朝鮮の治安当局者らがショートさんらのホテルを訪れ、翌17日の午前7時ごろ、ジョンさんと中国人添乗員1人が連行された。その際当局者らは、2人を空港へ連れて行き国外退去させると話していたが、結局ショートさんは空港には姿を見せなかったという。

 オーストラリア外務省によると、同国は北朝鮮と国交がないため、同国の代表部を兼ねるスウェーデン大使館に協力を依頼している。

 北朝鮮では憲法上は信教の自由が保障されているものの、実際には認められておらず、宗教活動が行えるのは政府とつながりのある公認の宗教団体だけに厳しく限定されている。

 北朝鮮は外国人宣教師らを扇動の意図を持った反乱因子とみなしており、同国で何らかの宗教活動への関与が発覚した場合、直ちに逮捕の対象とされる。

 カレンさんによると、ショートさんは北朝鮮の人々の窮境に胸を痛めていたという。「彼は北朝鮮を観光地とみていたわけではなく、人々のことを心配し、助けたがっていた」と話している。(c)AFP/Jennifer O'MAHONY