■ロボットが火星に居住空間つくる未来

 ロボットは3つのモーターと、ロボットのすぐ周囲の情報を取り込むセンサーを備えており、全体の進行状況や誰が何を作っているか、どこで作っているのかなどを知らずに、他のロボットと並行して作業する。

 しかしそれでも作業は順調に進む。研究チームは同プロジェクトについて声明で「スケーラブルで分散型の人工知能というコンセプトにとっての重要な裏付け」と説明した。

 研究チームは、遠い将来、たとえば、火星に居住空間をつくったり、洪水になる前に土のうを積んだりするなど、人間が行けない場所にロボットが構築物を作ることができるようになるかもしれないとしている。

 このシステムのロボットやブロックは、可能な限り単純で信頼性の高いものにすることを目指して設計された。

 同様の研究はすでに何年も前から行われている。だが、今回の研究が他と違う点は、シロアリの行動の模倣が精緻な点。サイエンス誌に論文と同時に掲載されたエディトリアルは「このシステムは、あらかじめ定義された構造物を単純なロボットで自律的に建設することができるという点で極めてエレガント」と評している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN