【2月18日 AFP】ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルで五輪デビューを果たす村上佳菜子(Kanako Murakami)によると、日本がフィギュアスケートで成功を収めるようになった背景には、厳格な母親の存在があるという。

 浅田真央(Mao Asada)、鈴木明子(Akiko Suzuki)、そして村上の3人は、全員が愛知県出身で、名古屋市のリンクで育った。

 日本勢で初めてフィギュアスケートの五輪メダリストになった伊藤みどり(Midori Ito)さんも輩出した名古屋市は、なぜそれほど多くの優秀なフィギュアスケート選手を育てられるのかという質問に対し、19歳の村上はためらうことなく答えた。

「愛知県のお母さんたちは、とても熱心なんです。なかには、すごく怖い人たちもいます。コーチだけじゃなくて、お母さんたちも指導が厳しいんです」

 1992年のアルベールビル冬季五輪で銀メダルに輝いた伊藤さんも名古屋市出身だが、ソチ五輪の男子シングルで金メダルを獲得した羽生結弦(Yuzuru Hanyu)と、トリノ冬季五輪女子シングル金メダリストの荒川静香(Shizuka Arakawa)さんは、ともに宮城県仙台市のリンクで育っている。

 村上は、「私は伊藤みどりさんと同じコーチに師事しています。伊藤さんのことは、コーチからいろいろ聞いています。彼女は私の憧れで、最も尊敬する人です」と語り、「明子さんも真央さんも尊敬する選手です」と続けた。

 「2人は私にとってお姉さんみたいな存在です。ここに一緒に来られて安心していますし、楽しいです。コーチからは、初めての五輪を楽しむことが私のやるべきことだと言われました」

 23歳の浅田と最年長28歳の鈴木は、共に2010年バンクーバー冬季五輪以来、2度目の五輪出場となる。バンクーバー大会では、浅田が銀メダルを獲得し、鈴木が8位入賞を果たしている。

 鈴木は「まれに怖いお母さんたちがいます」と述べて村上に同意し、「でも、そうした人たちの厳しい支えが前向きな雰囲気を作り出して、私たちも練習に励めるのです」と語った。

 浅田もまた、名古屋には本物のスケート文化が根づいているとの見解を示している。

「子どもの頃からたくさんのスケート選手に囲まれていました。みんな上手な人ばかりで、そういう人たちと一緒に滑ることができたんです。子どもの頃のそうした経験があったからこそ、今ここに来れたのです」

 日本の女子選手たちは、一週間前の団体戦のあとアルメニアに移動し、19日から始まる本番に向けて静かに練習を行っていた。