【2月17日 AFP】ソチ冬季五輪の男子ショートトラックで、韓国からロシアに国籍を変えて出場し、金メダルを獲得したビクトル・アン(Viktor Ahn)が、国籍を変えたことに後悔はないと語った。

 アンはかつて韓国代表の安賢洙(Ahn Hyun-Soo、アン・ヒョンス)として2006年のトリノ冬季五輪に出場し、韓国に3つの金メダルをもたらした。しかし、けがと韓国スケート連盟との対立に悩まされたことから、2011年にロシア国籍を取得すると、瞬く間にロシアショートトラック界の第一人者となった。

 そして15日、ソチ五輪の男子1000メートルを制したことで、彼はビクトル・アンとしてロシアの英雄になった。1位でフィニッシュしたアンは氷にキスをし、泣き崩れた後、ロシア国旗を頭上に掲げた。

 恋人のウ・ナリ(Oo Nari)さんがレースのたびに涙を流して見守るなど、好感度も高い28歳のアンは、今大会の活躍によってロシア国内で有名人の仲間入りを果たし、ステータスは今後も高まるとみられている。

 アンが国籍変更後の名前に勝者を意味する「Viktor」を選んだのは、根からの勝者だったからというだけではなく、そこには旧ソ連の革新的なロックミュージシャン、ヴィクトル・ツォイ(Viktor Tsoi)の存在もあった。ツォイは朝鮮系ロシア人で、1998年に交通事故に遭い、28歳でこの世を去っている。

 アンのロシアでの英雄扱いは、韓国の反応とは対照的で、韓国人は今も、自国で最も名の知れたスポーツ選手の1人が国を去り、別の国の代表として大会に出場していることを、驚きをもって受け止めている。