【2月12日 AFP】世界の女性は14人に1人の割合で、パートナー以外の人物から性的暴行を受けた経験があるという報告が、12日に発行された英医学誌「ランセット(Lancet)」に発表された。女性に対する性的暴行に関するデータが世界規模でまとめられたのはこれが初めてだという。

 56か国で行われた調査結果を統合した同研究には、データに重要な隔たりがあることを執筆者らは認めながらも、女性への性的暴行が、広く看過されてきた重大問題だという全体像は明らかになったとしている。

 採用したのは研究対象として適すると判断された77の調査結果で、412件の暴行事例が示された。この全体平均で、15歳以上の女性のうち7.2%が、親密な関係にあるパートナー以外の人物から生涯のうち1回以上、性的暴行を受けた経験があると調査員に語った。

 この確率が最も高かったのはサハラ以南アフリカで、そのうち中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)で21%、南部(ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ)で17.4%だった。その後に続いたのが、16.4%のオーストラリアとニュージーランドだった。反対に最も低かったのが、南アジア(インドとバングラデシュ)の3.3%、次いで北アフリカと中東の4.5%だった。

 欧州では東欧(リトアニア、ウクライナ、アゼルバイジャン)が6.9%と低く、中欧が10.7%、西欧が11.5 %だった。北米は13%だった。

 調査主任を務めた南アフリカ医学研究協議会(South African Medical Research Council)のナエマー・エーブラハムズ(Naeemah Abrahams)氏は、地域によっては実際の被害件数がずっと多いことも考えられると指摘。特に南アジアではもっと高い可能性があるとしている。

 執筆者らは、地域間で被害者の割合にばらつきが生まれている原因として、文化によっては性的暴行の被害者側が非難されることもあり、被害者が口を閉ざしてしまう傾向があるとし、各地域に被害を語りやすい土壌があるかどうかによっても変わってくると説明している。

 エーブラハムズ氏は、保健監視団体や政策決定者らが、女性への性的暴行問題に取り組んでいくための土台を、この論文は提供していると述べている。(c)AFP/Richard INGHAM