【2月11日 AFP】ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領解任が引き金となった政治的混乱に揺れるエジプトで、激しい攻撃を繰り返す新たなイスラム武装組織が国の安定を脅かしている。

 首都カイロ(Cairo)の警察本部前での自動車爆弾攻撃や白昼の警察幹部暗殺、さらに軍用ヘリの撃墜など、ここ2週間で目を引いている複数の攻撃について、イスラム過激派組織「エルサレムの支援者(アンサル・ベイト・アルマクディス、Ansar Beit al-Maqdis)」が犯行声明を発表している。

 モルシ前大統領を追放した軍の最高評議会議長と国防相を兼任し、4月に予定される次期大統領選に出馬する意向のアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)氏に対しても「エルサレムの支援者」は「復讐の日がやって来る」と警告している。

「エルサレムの支援者」についてエジプトの治安当局は、2011年のムバラク政権崩壊後に約30年ぶりの選挙で選ばれたモルシ前大統領の出身母体「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」から「派生したテロリスト集団」だと主張している。

 一方、専門家らの間では「エルサレムの支援者」は、ムバラク政権崩壊後にエジプト人によって最初に作られた組織で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に触発されており、戦闘員の大半はシナイ半島の部族から集めていると考えられてきた。

 しかしここ数か月では、ナイルデルタ(Nile Delta)やカイロ周辺からの支援も得ているという。全体の指揮系統や資金源についてはまったく知られていない。反ムバラク体制デモのさなかの11年に脱獄した民兵が率いている、もしくは支援しているとの見方もある。