【2月9日 AFP】冷たい川の中から投資家に事業への出資を募る「シロクマ・ピッチング(Polar Bear Pitching)」と銘打たれた史上初のイベントが7日、フィンランド・オウル(Oulu)で行われ、新興企業26社の企業家たちが寒さに震えながら水温約0度の川に飛び込んだ。

 水着とスイムキャップを着けただけの参加者は、オウル川(Oulujoki)に張った氷に開けられた穴に次々に飛び込み、歯をカチカチ言わせながら事業計画を説明した。

 冷たい水に漬かっている時間が長いほど、プレゼンテーションを行える時間も長くなる。フィンランドで冬に泳ごうとすれば水中には数秒間しかいられないのが普通だ。しかし、フィットネス関連機器の会社「Laturi」の社員4人は、5週間の練習のおかげで4分間まで我慢できるようになったという。

 亜寒帯気候にふさわしい服装をして穴の周りに立った投資家たちは、約3億ユーロ(約420億円)の資金を企業家たちの間でどのように分配すべきか吟味した。

 投資家の目を引くには特別なことをすることが重要だと多くの人が感じていることから、事業資金調達のための投資家への売り込みイベントは頻繁に行われるようになっている。

 オウル市にとって7日のイベントは特別な意味があった。同市は、市内最大の雇用主の1つである携帯大手ノキア(Nokia)の経営不振で大きな打撃を受けているからだ。

 しかし同市では起業も活発に行われており、およそ400社が創業している。こうした会社の多くはノキアの元従業員が設立したものだ。(c)AFP