【2月7日 AFP】昨年末からインド北部をうろついている1頭の「人食いトラ」がまたも住民を襲い、9人目の犠牲者が出た。当局が7日発表した。猟師や野生動物管理当局者らが殺処分を試みているものの、このトラはまだ捕まっていない。

 昨年12月29日以降、ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州のジム・コルベット国立公園(Jim Corbett National Park)付近の深い森林域で、同じ1頭のトラが相次いで人間に襲い掛かっている。

 ビジノール(Bijnor)地区の当局者がAFPに伝えたところによると、若い農業従事者が体の一部を食いちぎられて死亡しているのが7日に発見されたという。「この男性は、自分の牛を捜すといって森の中に入ったきり6日から行方不明になっていた。この人食いトラの9人目の犠牲者だ」と語った。

 インドではトラ狩りは長く違法とされているが、同州政府は猟師6人に許可証を発行し、地元住民をおびえさせているこの雌のトラの捕獲または殺処分を依頼している。

 トラは世界全体で個体数が減っており、現在3000頭ほどが生息しているとされるが、このうち半数がインドにいるとみられる。インド亜大陸ではトラの従来の生息域が失われているため、人間の生活域により近づいてきている。

 動物保護活動家らでさえ、1度でも人間の肉を食べたトラに人を襲うことをやめさせるのは不可能に近いとして、確実な選択肢は殺処分しかないとしている。(c)AFP/Nishant Saxena