【2月7日 AFP】米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)国務次官補(欧州・ユーラシア担当)が、混迷するウクライナ情勢をめぐる欧州連合(EU)の対応をののしる電話の会話が盗聴され、インターネット上に公開された。国務省によるとヌーランド氏は6日、EU側に謝罪したという。

 問題の発言は、欧州・ユーラシア担当に昨年就任したヌーランド氏と、ジェフ・パイアット(Geoff Pyatt)駐ウクライナ大使との電話の内容とみられるもので、何者かに盗聴され、音声がロシア語の字幕付きで動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿された。会話の中で、ヌーランド氏は「EUなんかくそくらえ」と発言したとされる。

 米政府関係者はこうした会話が交わされたことは否定しなかったが、詳細な説明は避け、ロシア当局が米外交官の通話を盗聴した疑いがあると名指しで非難した。国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は、会話が盗聴され公開された経緯は不明だとしつつ「明らかに、これはロシアの情報活動の新たな手法だとみている」と述べた。

 ジェイ・カーニー(Jay Carney)米大統領報道官も、問題の発言を「ロシア政府によって(マイクロブログの)ツイッター(Twitter)で拡散されていることからみて、ロシア政府の役割のようなものがあったのではないか」と述べた。

 ヌーランド氏とパイアット大使は、ウクライナ野党指導者のアルセニー・ヤツェニュク(Arseny Yatsenyuk)氏を新首相に、ビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏を副首相に登用するというビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領が先月提案した妥協案について協議していたとみられる。ヤツェニュク、クリチコ両氏はこの妥協案を拒否している。

 盗聴された会話の中でヌーランド氏は、国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長がオランダのロバート・セリー(Robert Serry)元駐ウクライナ大使を国連特使としてウクライナへ派遣する意向だと聞いたと明かし、「そうなれば素晴らしい。このばらばらな状態を国連が手堅くまとめてくれるだろう。EUなんか、くそくらえ」と、ウクライナ情勢をめぐり対応を異にするEUへの不満をぶちまけている。(c)AFP/Jo Biddle