「好物と家族再会を夢見て」太平洋漂流13か月の日々
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【2月5日 AFP】「自殺を考えたこともあったが、好物と家族との再会を夢に見て生き延びた」──中米メキシコから島しょ国マーシャル諸島まで約1万2500キロ、太平洋を13か月間漂流していたと語っているホセ・サルバドール・アルバレンゴ(Jose Salvador Albarengo)さんが4日、苦難の日々を詳細に語った。
エルサルバドル出身の漁師、アルバレンゴさんは1月30日、太平洋の島しょ国マーシャル諸島のエボン環礁(Ebon Atoll)に漂着したところを発見された。治療を受けている首都マジュロ(Majuro)の病院でAFPの取材に応じたアルバレンゴさんは「飢えで死にたくはなかった。自殺を考えたこともあったが、そうするのは怖かった」と述べた。
がっしりした体つきのアルバレンゴさんはマジュロに到着したときも、ひげは伸び、髪の毛は色が抜けていたが極めて健康そうに見え、脇を看護師に支えられながらも深刻な日焼けの症状はなかった。漂流中はありとあらゆる好物を食べることを夢見たというアルバレンゴさんは、「けれど起きると、見えるのは太陽と空と海だけだった。1年間、トルティーヤ(薄焼きパン)やチキン、色んな物を食べる夢を見た。それから両親や家族の夢をたくさん見た」と語った。
メキシコ・チアパス(Chiapas)州の漁師たちがチョコウイタル(Chocohuital)の街でアルバレンゴさんを見かけたのは、2012年の11月が最後。「最初は無線が通じたんだが…戻って来なかった。政府の捜索ヘリコプターも出動し、我々は手を尽くして探した」とリーダーのギジェルモ・ロドリゲス・ソリスさんはいう。アルバレンゴさんが乗っていたのは全長7.3メートルのファイバー製小型ボートで、食料は1日分しかなかった。