■バイオマスエネルギーを市営の供給システムで

 ベクショー市は1970年代に、一元管理の集中ボイラーで生じさせた熱や温水を街全体に送り出す地域熱供給システムを開発した。このシステム自体はスウェーデンでは珍しいものではなかったが、市営のエネルギー会社は、化石燃料から間伐材などを利用する木質バイオマス燃料への移行の先駆けとなった。

 市街地の外れにあるバイオマスボイラーで責任者のビョルン・ボルガスト(Bjoern Wolgast)さんは、小枝やコケ、樹皮などが混じったバイオマスをつかみ取ると、強いマツの香りを吸い込んだ。このバイオマスの山はショベルカーで近くのコンベヤーベルトまで運ばれる。ボルガストさんは「100%再生可能エネルギーだ。灰はまた森を豊かにするために返している」と話した。

 このボイラーは人口6万人の市民の約90%に暖房や温水を供給している他、電力需要の40%前後の供給も担っている。ボイラーからのCO2排出量はごくわずかで、国が定める排出量上限の12分の1程度だ。

 だが、ベクショー市が本当に「ヨーロッパで最も環境に優しい都市」なのかどうか、疑問の声もあり、このスローガンにいら立ちを覚えている市民もいる。例えば2年前に同市で初めて食品リサイクルを始めた1人で、環境に優しいレストランのオーナー、ヨーラン・リンドブラード(Goeran Lindblad)さんは「食品廃棄物のリサイクルでは、スウェーデンの他の地域より何年も遅れを取っている」と指摘する。

 こうした声があるものの、市が有機性廃棄物の収集を開始すると、とんとん拍子に進んだ。3分の2の世帯が熱供給システムに自主的に参加し、見返りとして電力代が安くなり、今ではバイオガスを燃料とするバスが市内のほぼ全域を走るまでになった。

 ベクショーでは市民の約60%が車を運転する。車への依存度が高いことが化石燃料ゼロの目標達成を困難にしている。だが、ヨハンソン議員は「バイクやバスの利用を魅力的なものにし、短距離の自家用車利用をしにくくしている。給油所では通常の燃料にバイオ燃料を混入したものが売られている」と話し、「30年までに化石燃料ゼロの目標を少なくとも80%は達成できると思う」と語った。(c)AFP/Tom SULLIVAN