【2月4日 AFP】米国で昨年1年の間に、誤審による不当な有罪判決が再審によって覆された件数は過去最高にほぼ並んだとする報告が4日、米研究プロジェクトによって発表された。

「米冤罪(えんざい)事件データベース(National Registry of Exonerations)」と題するプロジェクトとによると、有罪判決が再審で覆された刑事事件は過去25年間で約1300件あるが、そのうち87件が2013年のものだという。09年以降では最も多かった。

 報告の主執筆者サミュエル・グロス(Samuel Gross)氏は、AFPの取材に対し、誤審の原因となる問題に対処していくためにもこのような傾向を歓迎するとしつつも「誤審全体の中の氷山の一角だ」と語った。

 報告によると大方の予想とは異なり、DNA検査が冤罪を晴らした事例は全体の20%しか占めていない。グロス氏によれば、38%は「法執行機関の主導、あるいは協力によって」有罪から無実に転じたもので、冤罪事件において当局が想像以上に積極的な役割を果たしていることが分かったとしている。

 2013年に冤罪が晴れた事件87件のうち17%に当たる15件は、被告が有罪答弁をしているにもかかわらず判決が覆ったもので、これも1年間では過去最高の数だった。グロス氏は、無実の人でも「裁判になれば有罪判決を下され、有罪答弁をした場合よりもずっと長い刑期を科される可能性があると恐れて」有罪答弁をすることが時にあると説明している。

「死刑を科される可能性があるとすれば、その危険を避けるために有罪答弁をする」場合もあるという。

 米国では25年間死刑囚だったレジナルド・グリフィン(Reginald Griffin)氏が昨年、再審で無罪となった。米国で冤罪が晴れた死刑囚は同氏で143人目だった。

 また今回の報告によれば、複数選択による回答で、冤罪の56%が目撃者による嘘や偽証に基づくもの、46%が当局による不正、38%が「面通し」での目撃者による誤認に当てはまるという。(c)AFP