【2月3日 AFP】2か月以上にわたる反政権デモに揺れるウクライナの首都キエフ(Kiev)で、ヘルメットに目出し帽、防弾チョッキ姿のデモ隊の青年が、機動隊とにらみ合いが続くバリケード近くの路上で恋人女性の前にひざまずき、拡声器を使ってプロポーズした。

 プロポーズの舞台となったのはデモ隊が泊まり込みを続ける独立広場(Independence Square)からほど近い路上で、1月に治安部隊との激しい衝突で死者が出た現場だ。

 凍える寒さの中、極右連合「右セクター(Right Sector)」の活動家の男性は1日夜、交際歴1年半の恋人の前にひざまずくと赤い小箱から指輪を取り出し、結婚してほしいと拡声器でプロポーズした。感激した女性がうなずいて目出し帽を脱ぎ、笑顔で未来の夫に口づけると、見守っていたデモ参加者たちは一斉に歓声を上げ、花火や発煙筒で2人を祝福した。

 仲間の1人が女性に赤いバラの花束を手渡すそばで、男性は「ウクライナに栄光あれ!」と第2次世界大戦中から使われている伝統の民族主義スローガンを叫んだ。デモ隊の仲間たちも「英雄たちに栄光あれ!」と応じた。

「嬉しくて言葉もない」と喜ぶ男性によると、「恋人にいつプロポーズしようかと迷っているうちに、幸か不幸か『革命』が始まってしまった。それで、この場でプロポーズすることに決めた」のだという。

「右セクター」は最近、デモ隊の中で台頭してきた極右勢力。当局の追及を避けるため、男性は身元を明らかにはしていない。(c)AFP