■フードコープが生き方の意識を変える

 現在では、パークスロープ・フードコープを“所有”する組合員は1万5000人を超えている。そこで生じてくる新たな問題について、店のディレクターであるビル・ペナー(Bill Penner)はこう語る。

「現在、仕事の分担に多少問題があります。ここ数年、会員が急増したため、新規会員が長期会員に比べて増えてしまいました。労働に対する各会員の姿勢が多様化し理想も変化しました。そのため新会員は戸惑っています。最近会議(※月に一度行われている組合による運営会議)の議題に上がるのが、会員数に相当するような作業がないということ。そのために、任務時間を減少しようとする声がやみません。しかしそれが効果的かというと、それは実証されていません。この6年で急増した5000人の会員をどうマネージするのか思索中です」。

 アメリカのビジネス紙『Crain's New York Business』2013年12月9日付によれば、パークスロープ・フードコープは今後、他のフードコープに対して、運営や新規設立に向けての金銭的支援を行っていくことを発表している。今までもアドバイザーとして運営を支援してきたが、今回のような動きはこれまでの40年間の中でも初となる試みだ。つまりパークスロープ・フードコープがこれから積極的に、全米にその価値観とノウハウを伝播しようとしているのだ。

 売り手と買い手の垣根を越え、単なる消費者としての市民から、生産者と直につながり、それをいかにより良く、より安く売るかを考える流通の送り手でもある立場を考えること。単なる健康意識を超えた、生き方の意識を変えるフードコープという存在は、コミュニティ・ビジネスを志向するライフスタイル産業にとってラジカルな先例なのではないかと思う。そして、そこには金銭よりもコミットメントを重視するこれからの価値観が垣間見られる。

※参考資料5:http://www.crainsnewyork.com/article/20131208/HOSPITALITY_TOURISM/312089966
(以下、次回に続く)
【菅付雅信】

■プロフィール
1964年宮崎県生まれ。法政大学経済学部中退。「コンポジット」、「インビテーション」、「エココロ」などを創刊し編集長を務める。現在は雑誌、書籍、ウェブ、広告などの編集を手がける。著書に「東京の編集」「はじめての編集」「中身化する社会」等がある。

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