【2月3日 AFP】アフガニスタン軍兵士の識字率向上を目指した北大西洋条約機構(NATO)のプログラムが、2億ドル(約200億円)の予算を投じたものの、「非現実的な」目標を達成できない見通しとなっている。米国のジョン・ソプコ(John Sopko)アフガニスタン復興担当特別査察官が先月28日、報告書で述べた。

 報告書によると、識字試験を監査する独立機関の不在や、別部隊に配置転換された新兵らの追跡記録がないことなどにより、識字率向上プロジェクトの結果を十分に測定することが不可能となっているという。

 NATOの識字訓練プログラムは、2009年に開始された。2014年末までにアフガニスタンの軍兵士と警察官らの100%が米国の小学校1年生と同等の識字レベルを獲得し、50%が同3年生と同等レベルを獲得することを目標にしている。だが現状、基本の識字試験に合格しているのは全体の64%で、3年生レベルに到達しているのは21%に過ぎないという。

 報告書は、「(同プログラムに携わる複数の当局者らは)識字率向上プログラムの目標設定がいかになされたのか知らないと述べており、一方で、現状のアフガン国家治安部隊(Afghan National Security ForceANSF)でそれを実現することは『非現実的』で『達成不可能』だと言っていた」と述べている。「同プログラム責任者の司令官らの一部は、2013年2月時点で部隊兵士の半数以上が読み書き能力を持っていないだろうと推定していた」

 アフガニスタン軍の脱落率は30~50%と高いため、プログラムの成功の度合いを測定することも困難という。また、戦闘に部隊を配備する必要があるため、識字教育の途中で派遣されてしまう兵士らもいると報告書は述べている。(c)AFP