■現存のプリンターを使用可能

 注目すべき点は、この新方式がプリンターの交換を必要とせず、カートリッジ内のインクを水と入れ替えるだけで済むことだろう。

「水は再生可能資源であり、環境へのリスクも全くないことは明らかだ」と論文は説明している。

 色が消えるインクに関するこれまでの研究では、印刷のコントラストが低くなる傾向があった。コストが高くなる場合も多く、さらに有害な化学薬品が使われることすらあった。

 張教授の研究チームは、今回の開発で、これまでほとんど研究がなされていなかった「オキサゾリジン」と呼ばれる染料を使用した。これに水を当てると、1秒足らずで鮮明な青色の印刷ができる。

 研究チームはこれまで、水による印刷で青、マゼンタ(赤紫)、金、紫の4色の発色を可能にしている。だが今のところ、一度に一色でしか印刷できないという。

 次の段階は、印刷の解像度と持続時間を向上させることだ。

 また研究チームは、印刷された紙を取り込んで瞬時に色を消し、再度印刷できるようにする機械の開発にも取り組んでいる。印刷の色は、温度70度で約30秒以内に消える。

 染料処理を施した用紙は「非常に安全」だが、念のためにマウスで毒性試験を行っているとチャン教授は述べている。(c)AFP