【1月30日 AFP】ブラジルの野生生物保護当局は27日、大西洋熱帯雨林「大西洋岸森林(Atlantic forest)」に生息するジャガーの絶滅が差し迫っているとする研究を発表した。研究者たちによると、ジャガーの個体数の減少は、縮みゆく熱帯雨林自体にとっても脅威だという。

 捕食動物保護の研究機関Cenapがまとめた報告書によると、大西洋沿岸森林のジャガーの成体数は過去15年間で80%減少し、250頭になった恐れがある。さらに生殖年齢にある成体数はその5分の1に過ぎないという。

■熱帯雨林の9割が開発で消失

 マタ・アトランティカ(Mata Atlantica)との別名をもつこの熱帯雨林には多彩な動植物が生息し、とりわけ固有種の宝庫となっている。かつては国土の15%に当たる120万平方キロ以上の面積を持ち、アマゾンの熱帯雨林の25%を占めていたが、乱伐や牧場開発、都市化の進行の結果、ここ数世紀の間に90%以上もの面積が消失した。ブラジルの環境NGO「SOSマタ・アトランティカ基金(SOS Mata Atlantica Foundation)」によると、現在の面積はわずか2万8600平方キロほどだという。

 ジャガーにとっては生息地の減少によって、エサの探索と狩りの双方に悪影響を被る。生物学者のペドロ・ガレッティ(Pedro Galetti)氏は一例として、ジャガーが家畜の牛を捕食した場合、農場労働者たちはジャガーを殺すことをためらわないというケースを、地元紙「フォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)」紙に語っている。

 Cenapのディレクター、ロナウド・モラト(Ronaldo Morato)氏は、この地域の食物連鎖の頂点に立つジャガーの減少が、多様性を誇る熱帯雨林の生態系にとって明らかな脅威だと警告している。

 Cenapは来週から、残存するジャガーを観測衛星で追跡する新プロジェクトに乗り出す。(c)AFP