【1月28日 AFP】米国の伝説的フォーク歌手ピート・シーガー(Pete Seeger)さんが27日、死去した。94歳だった。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によれば、シーガーさんは、1週間ほど前から入院していたニューヨーク・プレスビテリアン(New York Presbyterian Hospital)病院で亡くなった。老衰だったという。同紙は、シーガーさんが取り上げたテーマは米国の左派の関心を反映していたと伝えている。

 シーガーさんは1940~50年代には米国の労働運動、60年代には黒人による公民権運動のデモやベトナム反戦集会で歌った。また70年代以降は環境運動や反戦運動のために歌った。

「花はどこへ行った(Where Have All the Flowers Gone?)」「天使のハンマー (If I Had a Hammer)」などの代表作の他、公民権運動を象徴する歌「ウィ・シャル・オーバーカム(We Shall Overcome、勝利を我らに)」を広めたことでも知られる。

 ボブ・ディラン(Bob Dylan)さんやドン・マクリーン(Don McLean)さんなど、50年代や60年代に時事問題を扱ったフォーク歌手やシンガー・ソングライターたちからは師と仰がれた。

 06年にシーガーさんのレパートリーを集めて演奏したアルバムを発表しているブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)さんは、シーガーさんの90歳の誕生日を祝ったニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデン(Madison Square Garden)でのコンサートでシーガーさんを「アメリカの音楽と良心の生けるアーカイブ、歴史を突き動かす歌と文化の力の証だ」と紹介した。(c)AFP