【1月27日 AFP】アフガニスタン北部パルワン(Parwan)州で今月15日に米軍が行った空爆をめぐり、民間人が犠牲となった証拠としてアフガニスタン政府が報道陣に提示した写真14点の中に、フランス通信(Agence France-PresseAFP)が2009年に撮影した無関係の写真1枚が含まれていたことが26日、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の調査で明らかになった。

 一連の写真は、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領が現地に派遣した事実調査チームが米軍の誤爆の証拠としてまとめ、アフガニスタン大統領府が報道陣に公開した調査報告書の添付資料。しかし、14点の写真のうちの1点は、AFPが2009年9月4日にアフガニスタン北部クンドゥズ(Kunduz)州で撮影したもので、旧支配勢力タリバン(Taliban)に強奪されたタンクローリー2台が米軍の空爆で炎上し約70人が死亡した事件の被害者の葬儀の写真だった。

 NYタイムズ紙によると、他にも少なくとも1枚の写真の信ぴょう性に疑問があるという。また、調査報告書の一部はアフガニスタン政府が公開する2日前に、タリバン系ウェブサイトに掲載されていたという。

 AFPの取材にアフガニスタンのアイマール・ファイジ(Aimal Faizi)大統領報道官は、「事態を非常に重くみている。問題の調査報告書には政府内の複数の部局が関与しており、誰がこの写真を資料に紛れ込ませたのかを調査している」と釈明。その一方で、「少なくとも10枚の写真や、動画、目撃者証言などから(米軍の)作戦に関する証拠は十分そろっている」と主張し、NYタイムズ紙の報道を「事件に関する一般的な見解を覆そうとする政治的な動機に基づいた記事だ」と批判した。

 旧支配勢力タリバン(Taliban)支配地域のパルワン州の村で、米軍とアフガニスタン軍が合同で行った24時間に及ぶ作戦で民間人に死者が出たことは、米軍が主導する北大西洋条約機構(NATO)軍も認めている。だが、死者数をめぐってはNATO側が「数人」と発表したのに対し、アフガニスタン政府の調査チームは「12人死亡」と結論付けている。

 パルワン州のバシル・サランギ(Basir Salangi)州知事は先週、AFPに対し6人が死亡したと語り、政府調査チームが「死者数を誇張している」としてチームを率いる議員を非難していた。(c)AFP/Ben Sheppard