【1月27日 AFP】エジプトのアドリ・マンスール(Adly Mansour)暫定大統領は26日、テレビ演説を行い、大統領選挙の日程を前倒しし、議会選の前に実施すると発表した。出馬が見込まれているアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah Said al-Sisi)軍最高評議会議長に有利に働くとみられる決定だ。

 4月中旬までに実施される予定の大統領選では、ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領を解任した軍のトップを務めるシシ議長が出馬すれば、当選がほぼ確実とみられている。

 当初、大統領選は議会選挙の後に実施予定だったが、マンスール暫定大統領によると、「多くの要望」を受けて日程を変更したという。大統領選を議会選の前に実施することで、シシ議長が有力候補を集めた新党を結成し、議会選の結果に影響が出る可能性がある。

 前日の25日には、モルシ氏の出身母体のイスラム組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」が組織したデモ隊と警官隊やシシ議長を支持するデモ隊とが衝突し、49人が死亡している。

 首都カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)では同日、シシ議長の支持派による大規模な集会も行われたが、モルシ派と暫定政府派との大規模な衝突や爆弾攻撃は、モルシ氏解任から7か月を経ても暫定政権による国政のかじ取りが危うい状態にある事実を浮き彫りにした。

 この衝突は、長期政権を敷いたホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)元大統領を失脚に追い込んだ2011年の民主化運動からちょうど3年の節目に起きた。国民の間では、シシ議長の大統領就任により、今なお続く混乱の終結を期待する声も多く上がっている。(c)AFP/Sarah BENHAIDA, Mostafa ABULEZZ