【1月26日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は24日に公開されたインタビューの中で、世界的に議論を呼んでいる日本の伝統的なイルカ漁を擁護し、各国に理解を求めた。安倍首相は、イルカの追い込み漁は日本の文化であり、漁村を経済的に支えている産業でもあると訴えた。

 和歌山県太地町で行われている追い込み漁で年間数百頭のイルカが捕獲されている。キャロライン・ケネディ(Caroline Kennedy)駐日米大使が今月初めマイクロブログのツイッター(Twitter)に、この漁法は「非人道的」だとして懸念を示すコメントを投稿したことから、再び世界的に批判が高まっている。

 安倍首相は米CNNのインタビューで、批判は承知しているが、太地町で行われているイルカの追い込み漁は古くから行われている漁法で町の文化に根付いており、地元の人たちの生活を支えていることを理解してほしいと語った。

 また安倍首相は、それぞれの国や地域には祖先から伝わるさまざまな慣習や生き方、文化があり、それらは当然尊重されるべきだと思っていると述べた。首相が記者の質問に答える映像は24日夜、同社の日本語版ウェブサイトに掲載された。

 反捕鯨団体シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySS)は太地町で行われているイルカの追い込み漁を撮影してインターネット上で公開してきた。追い込み漁を題材にしたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ(The Cove)』が2010年にアカデミー賞(Academy Awards)の長編ドキュメンタリー賞を受賞したことで、この問題は世界的な注目を集めた。

 太地町でのイルカの追い込み漁を擁護する人たちは、この漁は町の伝統で、イルカは絶滅の危機にひんしてはいないという日本政府と同様の主張をしている。また、西欧諸国の批判は各国の需要を満たすために食肉処理される牛や豚、羊の数がイルカのそれを大幅に上回ることを無視しており、偽善的だと訴えている。(c)AFP