■親露でも親欧でもない新勢力

「右セクター」はウクライナを「強い独立国」ととらえており、ロシアの影響を完全に排除したウクライナ国民による「人民の統治」の実現を目指している。同時に、野党主流派の掲げる欧州連合(EU)への加盟にも同意していない。

「われわれ民族主義者は、祖国を占領する政権を革命的な方法で転覆しなければならない。それ以外の方法は存在しない」。AFPの取材に応じた「右セクター」指導者の1人、アンドリー・タラセンコ(Andriy Tarasenko)氏は、こう断言した。

 ごく最近までほとんど知られていなかったこの集団は、政権への効果的な対抗勢力になれなかったとして全野党を批判し、あらゆる野党勢力との協力を拒んでいる。

 ウクライナの既存の極右政党「自由(Freedom)」とも、その党首オレフ・チャフニボク(Oleg Tyagnybok)氏とも、全くつながりはない。11月以降のデモを率いてきた元ボクシング世界チャンピオンの野党指導者ビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏や、連合野党「祖国(Fatherland)」幹部のルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)氏に対しても、拒否感をあらわにしている。

「人々は抗議のために街頭に繰り出したのに、その間2か月にわたって舞台を占拠してきた野党指導者たちは、現状維持に全力を尽くしただけだ」とタラセンコ氏は非難した。19日の大規模集会では、クリチコ、ヤツェニュク、チャフニボクの3氏に、デモ参加者から中傷が浴びせられた。