■法による定義か、プライバシー尊重か

 仏ファーストレディーの曖昧な地位は、過去にも問題視されてきた。

 ジャック・シラク(Jacques Chirac)氏が大統領だった2006年には、ベルナデット夫人が大統領専用車と運転手を好き放題に利用していることが野党から指摘された。その1年後には、後任のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領(当時)とまだ離婚していなかったセシリア(Cecilia Sarkozy)夫人が、大統領のクレジットカードで買い物をしていると批判された。

 こうした問題をきれいさっぱり解決するために、ファーストレディーの地位を法律で定義し、その職務と与えられる予算を明確にすべきだという意見もある。

 その一方で、多くの欧米諸国と同様に、大統領の公務と私生活は明確に区別すべきだと主張する人たちもいる。この問題には離婚が一般的になり、結婚は不要と考えるカップルも増えるなど社会の変化が反映されているというのだ。さらに、仏大統領のパートナーであっても、ファーストレディーを務めるために自身の仕事を犠牲にする必要はないとの見方もある。(c)AFP