【1月23日 AFP】ものぐさの度が過ぎて、自分の毛に生えるコケを食べ、まともに動くのは週1度の排せつの時だけ──。そんな動物はナマケモノしかいない。

 その生態を詳細にわたって観察し、名前負けしない見事な「怠けっぷり」を明らかにした調査結果が、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」で発表された。

 生物学者らの研究チームが行った調査によると、ミツユビナマケモノは、被毛に寄生する蛾(ガ)と協力することで「怠け」の奥義を極めたという。

 熱帯雨林の樹上で主に樹木の葉を食べて暮らすナマケモノは、週に1度だけ、排便のために木から地上に下りる。この際、ナマケモノは肉食動物にとっての格好の餌食となりやすく、非常に高いリスクが伴う。

 研究者らは、ナマケモノが地面に下りて排便する際、このガが宿主の糞に卵を産み付けていることに気が付いた。幼虫はふんの中でふ化し、成虫になった後で再び樹上のナマケモノの被毛へと向かう。

 ナマケモノに寄生するガは被毛内の窒素量を増やし、また少量ながら排便もする。これらが肥料の役目を果たし、被毛の小さな刻みにたまった雨水に藻が繁殖する。そしてこの藻は、普段は樹木の葉しか食べないナマケモノにとって貴重な栄養源になるという。

 発表された研究論文は、「この共生関係はナマケモノの生態の根幹をなす要素であり、そのおかげでナマケモノがより怠けるようになったのかもしれない」と述べている。(c)AFP