【1月22日 AFP】米国の最新の世論調査で、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が前週発表した米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)による監視プログラムの改革案について、個人のプライバシー保護が改善されるとは思わないと答えた回答者が7割に上り、米当局の監視活動に対する国民の不信感の高まりを反映する結果となった。

 独立系世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)と米紙USAトゥデー(USA Today)が15~19日にかけて成人1504人を対象に行った調査によると、オバマ大統領がNSAの改革案を示した17日の演説の内容を知っている回答者のうち、プライバシー保護については改革は大した違いをもたらさないと考える人が73%に上った。

 この大統領演説自体に対する関心の低さも示され、回答者の約50%が演説をまったく聞いておらず、41%が「少し聞いただけ」と回答した。

 また回答者の10人中7人は、テロの脅威から安全を保つために、自分のプライバシーの保護を余儀なく断念させられるべきではないと答えた。

 NSAによる通話やインターネット通信に関するデータ収集について、7月の調査では50%が賛成していたが、今回の調査では反対が53%とほぼ逆転した。この世論の転換は昨年6月に米情報当局の契約職員だったエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者がNSAの機密文書を大々的に暴露したことを受けている。

 スノーデン容疑者の暴露が米国に損失を与えたかどうかという質問に対しては、公益にかなうと回答した人が45%、有害だと答えた人が43%で、世論は二分した。

 米当局によりスパイ活動取締法違反で訴追され、ロシアに亡命中のスノーデン容疑者については、56%が政府は訴追すべきだと答えた一方で、32%は刑事訴追に賛成を示さなかった。

 オバマ大統領は改革案の中で、通話に関するメタデータを政府ではなく第3機関が保管することや、NSAがそのデータを調査する際には、真に緊急の事態を除き、裁判所命令を必要とすることなどを掲げた。また友好関係にある国の指導者たちの電話の盗聴を一切止めることを誓約している。(c)AFP