【1月17日 AFP】バチカン(ローマ法王庁)は16日、ローマ・カトリック教会の聖職者による未成年者への性的虐待を撲滅するための取り組みついて、初めて国連(UN)からの質疑に応じた。

 バチカンの使節団は、スイス・ジュネーブ(Geneva)にある国連・子どもの権利委員会(Committee on the Rights of the Child)にて6時間に及ぶ質疑に応じた。

 バチカンの元検察高官チャールズ・シクルナ(Charles Scicluna)氏は、同教会は何をなすべきかを理解していると主張。「特定の事案について、今とは違った対応が必要なことは理解している」などと述べた。

 これに対し同委員会は、バチカンの決意を疑問視。サラ・オビエド(Sara Oviedo)委員は使節団に対して「態度の変化に疑問を持っている」として、「あなた方(バチカン)は実行に移す必要がある。われわれは具体的な行動を目にする必要がある」と述べた。

 国連が1989年に採択した「子どものための権利条約(Convention on the Rights of the Child)」の締約国は、規則が遵守されているかどうかを示した報告書を定期的に提出することが求められており、18人の委員からなる同委員会がこれを吟味する。報告書の提出に同意しているバチカンが同委員会に最初に使節団を派遣したのは、同教会の聖職者の児童虐待問題が明るみに出る前の1995年で、16日の派遣が2回目となった。

 バチカンが提出した報告書と同日の質疑応答に基づき、同委員会は2月5日までに勧告を行う予定。勧告内容は法的義務ではないが、道義的責任が問われることになる。英国に拠点を置く「子どもの権利国際ネットワーク(Child Rights International Network)」のベロニカ・イエーツ(Veronica Yates)代表はAFPの取材に対し、「国連からのメッセージは明白。『あなた方(バチカン)は規則を守っていない』『責務を果たそうという意欲がない』『否定し話をそらしている』だ。人権を促進する国際機関がこう言ったのはこれが初めてだ」と、この日の質疑応答の意義を強調した。(c)AFP/Jonathan FOWLER