【1月15日 AFP】約3億7500万年前の化石が進化論に新たな光を投じるとした研究報告が13日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された──研究は脊椎動物が海から陸に移り住むようになった後に初めて大きな後ろ足が現れたとする、これまでの見方に異議を唱えるものだ。

 米ドレクセル大学自然科学アカデミー(Academy of Natural Sciences of Drexel University)などの研究チームが発表した論文によると、ワニと魚の中間のような外見の「ティクターリク(Tiktaalik)」の骨盤と腹びれの一部の保存状態の良い化石は、後ろ足の機能が実際には「後ろひれ」に最初から備わっていたことを示しているという。

 2004年に最初に発見されたティクターリクは、魚類と陸生四足類との間の「飛躍」を埋める過渡期の生物種として最も良く知られている。

 ティクターリクは最大で体長2.7メートルにまで成長し、浅い淡水域で捕食生活をしていたことがこれまでの研究で指摘されている。可動性のある首や胸郭、肺などの四足類に似た特徴も持っていたとされ、さらには、肩、ひじ、手首の一部がある巨大な前ひれもあった。

 だが、2004年にカナダ北部の発掘現場で発掘・復元された化石の解析により、ティクターリクの後四半身の詳細な全体像が今回初めて明らかになった。

 研究チームは、ティクターリクの骨盤帯、突出した股関節の球関節部、体の下方に伸びた非常に可動性の高い大腿(だいたい)骨を発見した。

 論文の共著者の1人、ドレクセル大自然科学アカデミー準学芸員(脊椎動物学)のエドワード・ダイシュラー(Edward Daeschler)氏は「これは驚くべき骨盤であり、特に股関節の臼蓋(きゅうがい)は、足を持つ脊椎動物に至るまでの系統でこれまでに知られているどのものとも非常に異なっている」と話す。

「ティクターリクは、原始的な特徴と進化した特徴を併せ持っている。これらの特徴は、他と全く異なるだけでなく、高度な機能性を示唆している。彼らは、どちらかというと足を使っているかのような動きでひれを使っていたと思われる」

(c)AFP