今回の告白を受けて、ヒツルスペルガー氏の元には、サッカー界の各所から支持が寄せられている。

 ドイツ代表のルーカス・ポドルスキ(Lukas Podolski)はツイッター(Twitter)で「正しく、勇気ある決断をしたトーマス・ヒツルスペルガーに敬意を表する。今回の告白は、今という時代の大切な象徴だ」と語った。

 また、元所属クラブのアストン・ビラ、さらには元イングランド代表主将のギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏らからもツイッターで応援のメッセージが贈られている。

 アストン・ビラは「ここビラでのトーマスを知る全員が、素晴らしい選手としてだけではなく、素晴らしい人間として彼を尊敬している」と投稿した。

「今回の告白は彼の率直な宣言だ。われわれはクラブとしてトーマスを支持するとともに、サッカーに携わるすべての人間からも、同じように支持が広がることを願っている」

 リネカー氏は、「プレミアリーグでプレーした選手で初めて、勇敢にもカミングアウトしたトーマス・ヒツルスペルガーに祝福を」とつぶやいた。

 イングランド・プレミアリーグ、クイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park RangersQPR)の悪童ジョーイ・バートン(Joey Barton)も、いつもの歯に衣着せぬ物言いをツイッターで見せた。

「トーマス・ヒツルスペルガーは今日、大きな勇気を見せた。引退まで待たなきゃ、人間として真の姿を見せることができなかったなんて、悲しい時代だ。俺たち全員の、社会としての恥だ」

「だけどそれも分からないわけじゃない。なんせ宗教に洗脳された狂信的なやつらは、2000年以上も前に書かれたフィクションをいまだに信じてるんだからな」

「俺の考えでは、過激な宗教思想を持ちたいなら、まずは完全なあほうにならなくちゃな。(フランス・リーグ1の)PSG(Paris Saint-GermainPSG)に所属するアレックス(Alex)が出したコメントが、俺の理論を証明しているよ」

 バートンに引き合いに出されたアレックスはキリスト教徒で、仏テレビ局カナルプリュス(Canal Plus)が放送したサッカーにおける宗教を扱ったドキュメンタリーでは、信仰に基づいて同性愛は認めないと発言して騒ぎを起こした。

 アレックスは自身の立場を堅持し、「神はアダムとイブ(Eve)をお創りになったのであって、アダムとイブ(Yves、男性の名前)を作ったのではない」とコメントしている。

 その一方で、イタリアの同性愛団体「ゲイセンター(Gay Center)」はヒッツスペルガー氏への支持を表明した。

 ゲイセンターは声明を通して「イタリアのサッカー選手に同性愛者はいるだろうか? われわれはいると信じている。彼らもヒツルスペルガー氏と同じように公表すべきだ」と述べた。

「われわれが暮らすこの国は、同性婚を容認しないなど、市民の権利を奪っている」

「一流のスポーツ選手が告白してくれれば、とりわけ若い人々に対して前向きなメッセージを送ることができるし、また同性愛嫌悪の撲滅にもつながるだろう」

(c)AFP