【1月9日 AFP】サッカー元ドイツ代表のトーマス・ヒツルスペルガー(Thomas Hitzlsperger)氏が、同国代表経験者としては初めて、同性愛者であることを告白した。

 8日に発売された週刊紙ディー・ツァイト(Die Zeit)のインタビューで、31歳のヒツルスペルガー氏は「自分が同性愛者であることを宣言する。世界のプロスポーツ界における同性愛者を可視化させたかったからだ」と語った。

 しかし告白というリスクを伴う決断に至るまでには、「長く難しい経緯」があったという。

 ヒツルスペルガー氏は現役時代にドイツ・ブンデスリーガやイングランド・プレミアリーグ、イタリア・セリエAを渡り歩き、アストン・ビラ(Aston Villa)、エバートン(Everton)、VfLボルフスブルク(VfL Wolfsburg)、ラツィオ(SS Lazio)などでキャリアを重ねた後、2014年にスパイクを脱いだ。

 ドイツ代表として、2004年から2010年にかけて52試合に出場したヒツルスペルガー氏は、「女性よりも男性とともに生きたい、という自分の気持ちに気がついたのは、ここ数年のことだ」と話す。

 同氏は「カミングアウトする」決断に至った理由として、今が自分にとっていいタイミングだということ、そしてプロスポーツ界における同性愛について訴えかけたい思いがあったことを挙げた。

 ヒツルスペルガー氏は「自分のあり方を恥じたことは一度もない」と言うものの、同性愛に対する意見のいくつかには、いつも複雑な気持ちを味わってきたと語った。

「イングランドにせよ、ドイツやイタリアにせよ、同性愛が真剣に取り上げられることはない。少なくともロッカールームではね」

 これまで同性愛であることを公表した著名なサッカー選手はただ1人、ノッティンガム・フォレスト(Nottingham Forest)やノリッジ・シティ(Norwich City)でプレーし、1990年にカミングアウトしたジャスティン・ファシャヌ(Justin Fashanu)氏だけだった。同氏はその8年後、37歳で自ら命を絶っている。