【1月6日 AFP】インドは5日、国産のブースター技術を使用した同国初のロケットの打ち上げに成功した。過去数回のミッション失敗を経て、野心的な宇宙計画に新たな前進の一歩を踏み出した。ロケットは同日、南部スリハリコタ(Sriharikota)のサティシュ・ダワン宇宙センター(Satish Dhawan Space Centre)から予定通りに打ち上げられた。

 インド宇宙研究機関(Indian Space Research OrganisationISRO)理事長のコッピリル・ラダクリシュナン(Koppillil Radhakrishnan)博士によると、重量415トンのロケットは、打ち上げから約17分後に重さ2トンの最新型通信衛星を予定の軌道に投入したという。

 インドは長年、独自の極低温液体燃料ロケットエンジンの開発に取り組んできた。このロケットは、地上約3万6000キロの高高度の軌道に重量がこれまでより大きい衛星を投入するように設計されている。

 過冷却状態の液体燃料を使用するこの強力なブースター技術は、高利益率の世界の商業衛星打ち上げ市場におけるインドのシェア拡大を助ける手段として切望されていた。

 これまで、極低温液体燃料を使ったブースター技術の開発に成功しているのは、米国、ロシア、フランス、日本、中国と欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)などのほんの一握りの国々に限られており、インドはこの複雑な技術を習得したエリート国家の仲間入りを目指してきた。

 インドの開発プロジェクトはこれまで、相次ぐ困難や災難を乗り越えなければならなかった。昨年8月には、ロケットエンジンの1つに燃料漏れが見つかり、打ち上げが予定の数時間前に中止となった。

 2010年4月には、インド初の国産ロケットが打ち上げられたが、エンジンの点火に不具合が生じたため、打ち上げ数分後にベンガル湾(Bay of Bengal)に墜落した。

 インドのマンモハン・シン(Manmohan Singh)首相は、5日のミッションを成功させたチームを祝福した。同ミッションの総費用36億5000万ルピー(約61億5000万円)で、内訳はロケットに22億ルピー(約37億円)、衛星に14億5000万ルピー(約24億5000万円)となっている。

 同首相はツイートで「これでインドは科学技術の分野でまた新たに重要な一歩を刻むこととなった」と述べている。(c)AFP/Gulab Chand