【12月28日 AFP】有力政治家や実業家が絡む大がかりな汚職疑惑が持ち上がっているトルコでは、27日も新たな抗議デモが発生した他、与党議員の離党やトルコ・リラ安など、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相にとって厳しい状況が続いている。

 首都アンカラ(Ankara)とトルコ最大の都市イスタンブール(Istanbul)では、内閣総辞職を求める数百人のデモ隊に警察が放水銃、催涙ガス、ゴム弾を撃ち込んで解散させた。

 イスタンブールでは、デモ隊の一部が市内中心部にある広場に向かう警官隊に花火を打ち込んで到着を阻んだ。現場にいたAFPのカメラマンによると警察は催涙ガスで対応し、デモ隊の少なくとも2人が負傷し、周辺の通りでも衝突が起きた。

 アンカラの中心部の広場には約700人のデモ隊が集まり、汚職の容疑者の1人で大手国営銀行のハルク銀行(Halkbank)頭取の家で見つかった数百万ドル入りの靴箱を模した靴箱が高く掲げられたと、AFPのカメラマンが現場から報告した。

 辞任要求を無視し続けているエルドアン首相は27日に行われた支持者の政治集会で、一部閣僚が辞任し、経済界の政府支持者が身柄を拘束された今回の汚職捜査は正体不明の国際勢力による「謀略工作」だというこれまでの見解を繰り返した。

 これに先立つ同日、エルトゥールル・ギュナイ(Ertugrul Gunay)前文化観光相ら3議員が汚職事件を理由に新たに与党・公正発展党(Justice and Development PartyAKP)を離党。エルドアン首相はこれまでに離党した議員たちを「裏切り者だ」と激しく非難した。

 政治危機は経済にも影響を与えており、トルコ・リラは27日も続落して1ドル=2.1492リラと最安値を記録。イスタンブール株式市場の株価指数も1.04%安の6万3885.22ポイントとなった。(c)AFP/Fulya OZERKAN