【12月29日 AFP】スペインの独裁者フランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統を最初は冷蔵庫に詰め込み、今度はその頭をパンチバッグにみたてた──スペイン・メディアの注目を集めるアーティスト、エウヘニオ・メリノ(Eugenio Merino)さん(36)の作品は、今もフランコ総統を崇拝する人たちにはすこぶる評判が悪い。

「パンチング・フランコ」と題された作品は、フランコの顔をかたどったシリコン製のパンチバッグで、重い台座に備え付けたバネ仕掛けのスタンドのてっぺんに据えられている。フランコがかけている黒いサングラスは、片方のレンズが取れている。

 メリノさんはAFPの取材に対し「抑圧された人々、正義を決して勝ち取ることができなかった人々に、自らの重荷を下ろしてもらう一つの方法だよ。一種のカタルシスだ」と語る。

 だが、フランコの一人娘マリア・デル・カルメン・フランコ・イ・ポーロ(Maria del Carmen Franco y Polo)さん(87)が率いるNPO、フランシスコ・フランコ・ナショナル財団(Fundacion Nacional Francisco Franco)は、メリノさんの新作がフランコの名誉を毀損しているとして1万2000ユーロ(約170万円)の賠償を求め11月、メリノさんを再び裁判の場へ引き戻した。