【12月27日 AFP】ロシア当局は26日、2004年に死去したパレスチナ解放機構(PLO)のヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前議長の死因は、放射性物質による毒殺ではなく、自然死だったとする検視結果を発表した。

 ロシア連邦医療生物学庁(Federal Medical-Biological AgencyFMBA)のウラジーミル・ウイバ(Vladimir Uiba)長官は報道陣を前に、アラファト氏の死因に関する検査を全て終えた結果、同氏の死因は自然死で、放射性物質によるものではないと語った。

 ロシアの検視結果はフランスの専門家チームのものと一致するが、放射性物質による毒殺の可能性が高いと結論づけているスイスの放射性物質専門家らのチームの検視結果とは異なり、スイス側はロシアの検視結果は政治的動機に基づいたものと切り捨てた。

 アラファト氏の死については多くのパレスチナ人が疑念を抱いており、なかには名指しでイスラエルを非難するものもいる。

 ウイバ長官は、ロシアの検視はパレスチナ人から要請されたものではないとし、専門家による評価も全員が一致し、スイスも先の検視結果を撤回し我々の検視結果に同意したと発言した。

 だがスイス側はこの発言に直ちに反論。アラファト氏の生体試料を検査したスイス・ローザンヌ(Lausanne)、放射線物理学研究所(Institute of Radiation Physics)のフランソワ・ボシュ(Francois Bochud)所長は、アラファト氏の死因に関する見解に変わりはないと強調し、ロシアは検視データを公表していないと批判している。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO