■同胞団とアルカイダ系を同一視、暫定政権

 同胞団のテロ組織指定が発表された前の日の24日には、エジプト北部ナイルデルタ(Nile Delta)地帯にあるマンスーラ(Mansoura)の警察本部で自動車爆弾を使った自爆攻撃があり、15人が死亡、100人以上が負傷した。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に触発されたイスラム過激派組織「アンサル・ベイト・アルマクディス(Ansar Beit al-Maqdis)」(エルサレムの支援者の意)が犯行声明を出した。1970年代に武力闘争を放棄したムスリム同胞団はこの事件を非難している。

 だが、暫定政権は「警察本部爆破という、ムスリム同胞団が24日未明に行った醜悪な犯罪行為は、エジプト全土を恐怖に陥れた」とする声明を発表し、同胞団とアルカイダ系武装勢力を同一視する見解を示したが、当局はこれまで、両者のつながりを示す証拠を提供したことはない。

 暫定政権によると、テロ組織指定により、同胞団に所属するメンバーは今後、エジプト刑法に基づいて罰せられ、同胞団の活動は抗議行動を含め全面的に禁じられる。

 ムスリム同胞団は、エジプト独裁政権時代で最もまとまった運営体制がとられていた野党勢力で、2011年のホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領失脚後に行われた選挙で勝利を重ね、12年のモルシ氏の大統領選出へとつながった。今回のテロ組織指定は同胞団にとって劇的な転落となった。(c)AFP/Samer AL-ATRUSH, Mona SALEM