【12月25日 AFP】ロシアの人権政策をめぐり米国や欧州の指導者らが、来年2月7日に行われるソチ冬季五輪開幕式への出席を見送ったことについて、ロシア政府は24日、そうした動きの影響を否定した。

 米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は前週、同性愛者であることを公言している2人のスポーツ界のスターを米代表団のメンバーとして指名する一方、政権の現職の要人は1人も指名しなかった。これは今年、同性愛宣伝禁止法を制定したロシアに対する抗議のメッセージだと受け取られている。

 フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領や英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相ら欧州連合(David Cameron)各国の首脳もソチ五輪の開幕式への出席を見送ることを決めている。

 こうした各国要人の開幕式欠席についてロシア五輪委員会(Russian Olympic CommitteeROC)のアレクサンドル・ジューコフ(Alexander Zhukov)会長は、五輪自体に何の影響を及ぼすものではないと述べた。同国メディアによれば、ジューコフ会長は「五輪はスポーツ選手たちの競技会であり、それ以外のことはすべてオプションだ。重要なのは競技会自体で、世界の指導者が20人か30人集まるかどうかではない」と語った。

 同性愛宣伝禁止法の制定により、露当局がより広範に同性愛者を弾圧できるようになると懸念する欧米の人権団体や著名人らは、欧米の指導者たちの開幕式ボイコットを支持している。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を批判する曲をロシア正教会の聖堂で演奏してフーリガン行為で有罪となり、服役していた女性パンクバンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」メンバーのナジェージダ・トロコンニコワ(Nadezhda Tolokonnikova)さんも、前週施行された恩赦法によって23日に釈放されるやいなや開幕式ボイコットへの支持を表明した。

 しかしジューコフ会長は、旧ソ連のアフガニスタン侵攻に当時の西側諸国が抗議した1980年のモスクワ夏季五輪のように、大会自体のボイコットを真剣に検討している国はないと明言した。さらにオバマ大統領は09年の大統領就任以来、五輪の開会式には一度も出席したことがないと指摘した。(c)AFP