他の映画館が閉館せざるを得ない中で、シャマは最も成功を収めている映画館の1つだ。パキスタンでは1980年代、イスラム教化が進み、映画は敬虔なイスラム教徒の魂を堕落させる罪深いものとされた。

 続いてビデオやDVD、インターネットの登場が、映画館にとってさらなる逆風になった。ペシャワルに20年前には約15館あった映画館が、今では7館に減り、そのうち3館がポルノを上映している。シャマのチケット代は他館の3~4倍するが、人気は断トツだ。

 成功の鍵は、パキスタン国内で制作された作品を上映していることだ。ペシャワルでは、欧米のポルノ映画よりも、国内の作品を見つける方が難しい。ある30歳の男性は「多くの人と一緒で、自分もパキスタン人の子の映画の方が好み。素人っぽくて、よりリアルだから」と答えた。

 イスラム教国家でセックスやヌードに極めて保守的なパキスタンで、シャマは物議を醸している。同国のイスラム主義政党の中で主要な党の一つ「イスラム協会」(Jamaat-e-IslamiJI)は、シャマの閉館を要求している。しかし同館のオーナーは、ペシャワルで強い影響力を持ち、アワミ民族党(Awami National PartyANP)の主軸でもあるビロウル(Bilour)家だ。

 JIの学生活動家を含むイスラム主義者たちに過去10年で2回、シャマは襲撃されているが、そのたびに復活してきた。キスシーンさえもカットするパキスタン政府の検閲や、近年「不道徳な」DVDショップなどを数えきれないほど破壊してきたタリバンから、いかに注目されずにすんでいるのかは定かでない。しかし無秩序や腐敗が当たり前となっているパキスタン社会では、裏でビロウル家の富と力が物を言っているとささやかれている。(c)AFP/Emmanuel DUPARCQ