【12月18日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は17日、ロシア・モスクワ(Moscow)のクレムリン(Kremlin)でウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領と約3時間にわたって会談した。会談後プーチン大統領はウクライナへの150億ドル(約1兆5400億円)の金融支援と、ロシアからウクライナに輸出する天然ガス価格を約3分の1引き下げると発表した。

 ロシアのアントン・シルアノフ(Anton Siluanov)財務相によると、ロシア政府系ファンドはウクライナが来年末までに発行する予定のユーロ債に150億ドル投資する方針。今週にもウクライナ国債の購入を開始し、年内に30億ドル(約3000億円)のウクライナ国債を購入する予定だという。この発表を受けてウクライナの10年物国債の利回りは9.69%から8.75%に急落した。

 プーチン大統領は、ロシア国営エネルギー大手ガスプロム(Gazprom)がウクライナに輸出している天然ガス価格を現在の1000立方メートル当たり約400ドル(約4万1000円)から268.50ドル(約2万8000円)にすると述べた。

 この発表を受けてウクライナの親欧州派のデモ隊は、数万人規模で首都キエフ(Kiev)中心部の独立広場(Independence Square)に集まり、ビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領がウクライナをロシアに売り渡そうとしていると強く非難した。

 不況で2012年上半期から景気が後退し始めたウクライナは今回のロシアからの経済支援によって、切迫する国際収支危機とデフォルト(債務不履行)の危機は免れることができるが、2004年の「オレンジ革命(Orange Revolution)」以来最大規模とされる抗議行動の火に油を注ぐ結果になりかねない。

 この合意についてジェイ・カーニー(Jay Carney)米大統領報道官は、過去数週間にわたり独立広場で昼夜を問わずデモに参加している多数の国民の「不信払拭につながらない」として、その意義を疑問視する姿勢を示した。(c)AFP/Dmitry ZAKS, Stuart WILLIAMS