【12月13日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)内の各所に軽食として置いてあるナッツを警備中の警察官たちが食べていることに、腹を立てていた──。英大衆紙の電話盗聴事件をめぐる裁判で12日、こんな証拠が提出され、人々を笑わせる一幕があった。

 英ロンドン(London)の中央刑事裁判所(Old Bailey)ではこの日、2011年に廃刊となった英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」の電話盗聴スキャンダルをめぐる裁判が開かれていた。

 エリザベス女王の「立腹」を示す証拠は、検察側が提出した1件の電子メール。ニューズ紙の元王室担当編集者クライブ・グッドマン(Clive Goodman)被告が、同紙の元編集者で後にデービッド・キャメロン(David Cameron)首相の主任報道官を務めたアンディ・クルソン(Andy Coulson)被告に送ったものだ。

 アンドルー・エディス(Andrew Edis)検事によるとこの電子メールには、宮殿内に置いてあったナッツを「警察官たちが勝手につまみ食いしてしまったらしい」ことに女王が「おかんむり」だったと書かれていたという。「全てのナッツが警察官らに食べられてしまい、女王はそのことにイライラしていたようだ」とエディス検事は法廷で述べた。

 メールの中で、グッドマン被告は「巡回中の警官が(ナッツを)全部食べてしまうことが問題だ。(バッキンガム)宮殿内に配備された全警官に対し、(ナッツには)手を出さないようにとの通達が出された」と書いている。

 この証拠が提示されると法廷内には笑い声がこぼれ、裁判官も、警官たちがナッツを盗んでいるとの指摘は「証拠のない主張だ」と陪審員に注意を促す冗談を披露した。

 米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corp.)傘下の日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドは、著名人や政治家、王室、犯罪被害者の遺族らの電話を盗聴していたスキャンダルが発覚し、2011年7月に廃刊となった。クルソン被告は電話盗聴を計画した罪や、グッドマン被告らと共謀して公的機関で不正行為を働いた罪に問われている。(c)AFP