【12月11日 AFP】南米ウルグアイの議会は10日、マリフアナの流通・販売から使用、原料のアサの栽培までを、国家の監視と管理の下に全面的に合法化する法案を世界で初めて可決した。個人による栽培や愛好家のクラブなども認められる。

 ホセ・ムヒカ(Jose Mujica)大統領(78)の支持のもとで進められてきたマリフアナを合法化する法案は、ウルグアイ上院で議員29人中16人の左派議員の支持を得て成立した。今後、大統領の署名を経て施行される。

 上院の外ではマリフアナの使用を支持する数百人が「『非合法の』マリフアナと過ごす最後の集会」と銘打ち、花火を上げ、祝賀ムードとなった。中道左派の与党連合「拡大戦線(Frente Amplio)」のアルベルト・クリエル(Alberto Couriel)議員は「歴史的な日だ。この問題で、ウルグアイは世界の最先頭に立った」と語った。

 中南米では、一部薬物の合法化と規制を行えば、地域を荒廃させている麻薬組織を弱体化できるという考えが徐々に支持を広げており、ウルグアイはそのテストケースとなることを目指していた。

 今回の合法化により、18歳以上の消費者は1人6株までアサを自家栽培できる。また専門のクラブでの流通や、月40グラムまでの薬局での購入も認められる。いずれの場合も政府への登録が義務付けられる。

 しかし野党や、薬局でマリフアナを売るという案を拒絶している薬剤師たちは反対してきた他、9月の世論調査でも61%が「賛成しない」という結果が出ている。野党コロラド党のアルフレド・ソラリ(Alberto Couriel)上院議員は、マリフアナ合法化によって「リスクに対する認識が薄まり、特に子どもや若者の使用を増長するだろう。わが国の政府も全世界も、ウルグアイ人を実験台にすべきではない」と語った。

 精神科医たちの意見は割れている。マリフアナよりも危険なドラッグの使用抑制につながるという医師たちがいる一方で、マリフアナ自体の危険な効果が矮小(わいしょう)化されると危惧する医師もいる。

 マリフアナ使用支持派も全員が歓迎しているわけではない。政府の管理という面に反発する声もある。

 ウルグアイ政府はこの法案と同時に「すべてのドラッグ使用にはリスクがある」というスローガンを掲げた広報キャンペーンを行った。

 議会に法案を提出した拡大戦線のロベルト・コンデ(Roberto Conde)上院議員は、この法律は確立してしまっている社会の現実に対処するものだと語った。マリフアナはウルグアイの非合法ドラッグ消費の70%を占めており、過去10年間で消費量は2倍に増えた。政府の推計によれば、国内に住む12万8000人がマリフアナを吸っている。またマリフアナ使用支持派の団体などは、20万人と主張している。(c)AFP/Ana Inés CIBILS