【12月11日 AFP】化学物質のパーフルオロトリブチルアミン(Perfluorotributylamine、PFTBA)が、これまでに温室効果ガスであると確認されているいずれの化学物質よりも、地球温暖化に多大な影響を及ぼす可能性があるとの研究結果が10日、カナダの科学者らにより発表された。

 カナダ・トロント大学(University of Toronto)の研究者らは声明で、「PFTBAは温室効果ガスとして現在までに確認されている化学物質の中で最も放射効率が高く、気候変動に非常に大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べた。合成化学物質であるPFTBAは20世紀の中頃から電気・電子機器に使用されており、現在も電子検査で使われたり、熱伝導剤として使われている。

 PFTBAが気候変動に影響を及ぼすことが確認されたのは今回が初めてで、トロント大学の化学者らによると、下層大気中にあるこの化学物質を破壊したり、除去したりするための方法はまだ確立されていないという。同大学の研究者であるコーラ・ヤング(Cora Young)氏は、「非常に長く大気中に存在し、その期間は数百年に及ぶ可能性もある」と述べている。

 また、同大学の別の研究者によると、「100年以上の時間枠で計算すると、PFTBAの分子1個は二酸化炭素(CO2)の分子7100個が気候変動に及ぼす影響力に等しいことが分かった」という。

 研究結果は、ジオフィジカル・リサーチ・レターズ(Geophysical Research Letters)誌の電子版で発表された。(c)AFP