【12月11日 AFP】フランスのオレリー・フィリペティ(Aurelie Filippetti)文化・通信相は10日、米グーグル(Google)がパリ(Paris)で立ち上げた文化センター「Lab」の開設式への出席を、同社の個人情報の取り扱いなどの問題を理由に、直前になって取りやめた。

 仏政府は、個人情報保護や課税問題をめぐってグーグルと対立しているが、フィリペティ氏の突然の欠席を受け、大統領官邸と首相官邸は、最後の手段としてフルール・ペルラン(Fleur Pellerin)中小企業・イノベーション・デジタル経済担当相に代理出席を指示した。

 文化・通信大臣室はAFPに、フィリペティ氏は、「このプロジェクトの質にかかわらず」グーグルを100%支援していると誤解されないよう、欠席を決めたという。ある側近は、フィリペティ氏は個人情報の保護や課税問題などでの「より確かな約束」をグーグルに求めていると説明した。

 開設式に参加したグーグルのビント・サーフ(Vint Cerf)副社長はテレビ局「Public Senat」のインタビューで、土壇場のキャンセルに「非常に失望した。これは政治には関係のない文化的なプロジェクトだ」と話した。

「Lab」は、芸術家などの文化人がグーグルのエンジニアと交流し、同社の技術に触れる機会を持てるように作られた。対話型の大型スクリーンや3Dプリント機器、超高解像度カメラなど、実験的な技術が備えられたワークショップを利用することができ、世界中の若い芸術家のための研修制度も組まれる予定だ。

 グーグルは、他の大手IT企業と同様に、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)元職員のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が米国などの情報機関によるインターネット通信の大規模な傍受をしていたと暴露して以降、注目を集めている。だが同社は、米政府からの情報提供要請には従うほか無かったと主張している。

 スノーデン容疑者が暴露した内容の他にも、フランスの情報保護監視団体は、同社が欧州で定められているプライバシー規定に違反したとして、同社に対する措置を取ることを9月に発表している。

 また、仏当局は、グーグルが収益をバミューダ(Bermuda)に移転して多数の国での租税を回避していたとの疑惑について、調査を行っている。(c)AFP