【12月4日 AFP】H7N9型鳥インフルエンザの人への感染例が初めて確認された香港の食物及衛生局は3日、感染の可能性がある17人を隔離し、経過観察する方針を明らかにした。

 2日に香港で初めて感染が確認されたのは、家政婦として働いていたインドネシア人女性(36)。中国本土の深セン(Shenzhen)に出かけ、香港に戻った後に咳や息切れの症状を示した。11月27日に入院し現在、重体だという。

 今回隔離されるのは、女性の雇い主とその親族など17人。食物及衛生局の高永文(Ko Wing-man)局長は記者会見を行い、感染者と接触した17人のうち、密接な接触のあった5人を同日から入院させると発表した。いずれも症状は出ていないものの、感染者と最後に接触した日から10日が経つまで、西貢(Sai Kung)にある休暇施設に送られ、経過観察を受ける。

 なお、同日の政府発表によると、17人は検査の結果、いずれもH7N9型ウイルスに陰性だった。

■香港と台湾は警戒強化

 香港は深センからの生きた鶏の輸入を停止した他、インフルエンザの緊急警戒レベルを「重大」に引き上げた。

 世界保健機関(World Health OrganisationWHO)によると、中国本土では今年2月以降、137人のH7N9ウイルス感染が確認され、うち45人が死亡している。

 台湾でも4月に、中国東部で働いていた男性(53)の感染が報告された。男性は台湾に戻った後に回復し退院したが、これをきっかけに当局はワクチンの開発に着手。2014年末までの接種開始を目指している。

 8月に入ると中国で初めて、人から人への直接感染とみられる事例が確認された。ただし中国当局の専門家らは、人同士の間での感染が広まる可能性は依然低いと強調している。

 香港では2003年にSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)が大流行。約1800人が感染し、299人が死亡したことから、鳥インフルエンザの感染拡大に対する警戒感を特に強めている。(c)AFP