【12月3日 AFP】香港(Hong Kong)のとある教室。9歳のシャーロット・ヤン(Charlotte Yan)さんは、2008年のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官のスピーチを、完璧な米国アクセントで暗唱する。「私たちの国を繁栄と進歩に続く正しい道に戻してくれる大統領を選ばなければいけません」。発音に極度に集中しているため、眉間にはしわが寄っている。

 香港は英国の元植民地だが、ヤンさんのように米国人の英語の話し方を学ぶ子どもが急増している。英国アクセントより米国アクセントの方が現在必要性が高いと、親たちが考えているためだ。

 ヤンさんが通う塾「ネイチャーEQ(Nature EQ)」では週末になると、壁に星条旗が掲げられた教室が、5歳を最年少とする子どもたちで埋まる。声をそろえて米詩人ロバート・フロスト(Robert Frost)の作品を暗唱し、発音を間違えると直ちに修正される。

 香港の九龍(Kowloon)側にある同校は、香港が英国から中国に返還される直前の17年前に開校した。当時の生徒はわずか40人だったものの、今日では定員いっぱいの350人が学ぶ。

 同校から少し離れた将軍澳(Tseung Kwan O)地区にも「米語ワークショップ(American English Workshop)」という塾がある。1年前の開校時は1週間の生徒数が20人だったが、現在は180人余りが通っている。

 上に挙げた塾をはじめとして、米国式英語を専門に教えるスクールは多数あり、発音はおおむね英語教員のアクセント次第という公立学校とは異なる授業内容だ。

「息子たちを米国の学校に進学させたいので、米国アクセントを学ばせることにした」と、10歳と7歳の息子をネイチャーEQに通わせているビクター・チャン(Victor Chan)さん(50)は語る。「米国アクセントは欧米での就職に有利だと思う」