【12月2日 AFP】聖母マリア(Virgin Mary)が排便している姿をかたどった小さな像に対し、スペインのローマ・カトリック教会が「グロテスク」だと激怒している。

 スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)には、有名人が尻を出して排便している姿をかたどった「カガネル(Caganer)」と呼ばれる人形を制作する伝統がある。こういった陶芸品は18世紀から販売されており、開運を願ってクリスマスシーズンに飾られている。

 だが、一部のローマ・カトリック教徒は、今年の人形の題材に激怒した。バルセロナ(Barcelona)近郊のモンセラ(Montserrat)の修道院にある聖母マリアと幼いイエス・キリスト(Jesus Christ)の黒色の像がその題材にされたのだ。同像は中世以前に制作されたとされ、カタルーニャで最も名高い像の1つ。

「このグロテスクな像にモンセラの聖母像のイメージを使うことは無神経であり、信仰心を傷つけられたと感じる多くの人々への敬意に欠いている」と、モンセラの修道院長は書簡で批判。また、ローマ・カトリック教徒の団体「e-Cristianos」はAFPの取材に「宗教的象徴の尊厳を傷つけた」として製造業者を提訴する方針を明らかにした。

 この人形を制作したカガネル製造大手のAlos y Plaは、誰かを傷つける意図はなかったと主張している。家族経営の同企業の1人は「善良な意図と親愛の念でこの像を作った。これはとてもカタルーニャ的だ」と語った。

 Alos y Plaは過去に、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領やサッカー選手のリオネル・メッシ(Lionel Messi)、英ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のミック・ジャガー(Mick Jagger)などの「排便人形」を製造しており、今年のラインアップにローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王やこの聖母マリア像などが加えられていた。(c)AFP