【11月29日 AFP】NHKが番組の中で「人間動物園」という言葉を使ったことで名誉を傷つけられたとして、台湾先住民の女性が損害賠償を求めていた訴訟の控訴審で、東京高裁は28日、1審の判決を覆し、NHKに100万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。

 報道によると、須藤典明(Noriaki Sudo)裁判長は、NHKが「深刻な人種差別的意味合いがある」言葉を使用したと述べた。

 時事通信(Jiji Press)と共同通信(Kyodo News)によると、問題の番組は、1910年に英ロンドン(London)で開かれた「日英博覧会」を取り上げたもの。日本政府は同博覧会に、原告女性の父親を含む台湾の先住民数人を展示として連れて行ったという。

 台湾は当時、日本の植民地下だったが、遠方のほとんど知られていない民族を展示するのは当時の西欧列強国の間では一般的に行われていた。

 人間動物園という表現は、台湾先住民のパイワン(Paiwan)人が文明的でないことを示唆するもの。判決文の中で須藤裁判長は、NHKが差別的な意味があることに配慮せずにこの単語を繰り返し使用したと指摘したと、東京新聞(Tokyo Shimbun)は伝えた。

 NHKは29日、AFPの取材に対し声明で、「われわれの主張が受け入れられなくて残念だ。判決内容を検討して今後の対応を決める」と述べた。(c)AFP