【11月29日 AFP】アフリカ西部で発見された、より悪性度の高い新型のヒト免疫不全ウイルス(HIV)株では、天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)への進行が従来よりも著しく速いとする、スウェーデン・ルンド大学(Lund University)の研究者らによる調査結果が、28日の英感染症専門誌「Journal of Infectious Diseases」で発表された。

A3/02」と呼ばれる新型のHIV株は、ギニアビサウで最も一般的な2種類のHIV株が融合したもので、現在のところ西アフリカでしか確認されていない。A3/02は、ルンド大の研究チームが2011年にギニアビサウで初めて発見した。

 ギニアビサウで行われたHIV陽性患者の長期追跡調査に基づく今回の研究に参加した科学者の1人、アンジェリカ・パーム(Angelica Palm)氏は「この新しい組み換え型に感染した患者は、5年以内にエイズを発症する。これは親(株)の1つ(に感染した場合)よりも約2年から2年半速い」と話す。

 組み換え型のウイルス株は、2種類の異なるウイルス株に感染した患者の体内でDNAが融合して発生する。パーム氏は「これまでに行われたいくつかの研究では、いわゆる組み換え型が発生した多くの場合、その親株より強力で悪性度が高くなることが示されている」と指摘する。研究チームによると、A3/02でエイズを発病する進行度の速さが、感染患者への薬剤の有効性に影響を及ぼすことはないという。

 論文は、このような組み換え型のウイルス株が、欧州や米国のような移住者の割合が高い地域で拡散する危険性にも触れた。

 ルンド大のパトリック・メドストランド(Patrik Medstrand)教授(臨床ウイルス学)は「われわれがほぼあるいは全く知らない組み換え型が多数広まっている可能性は非常に高い」と述べている。(c)AFP