【11月28日 AFP】英ロンドン(London)のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長は27日、「経済活動を刺激するのに有益だ」として、人間の貪欲さを称賛した。

 ジョンソン市長は、英シンクタンク「センター・フォー・ポリシー・スタディーズ(Centre for Policy Studies)」が故マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)英元首相をたたえて毎年主催している「サッチャー元首相記念講演会」で講演。「現代のサッチャリズム(Thatcherism)」に関する持論を展開した。

 この中でジョンソン市長は、「経済的な平等の実現など可能だとは思わない。実際問題として、ある程度の不平等は羨望をかき立て、世間に後れを取るまいと張り合うのに欠かせない。強欲さと同様に、経済活動にとっては有益な刺激だ」と語った。

 英国経済は1980年代、規制緩和と民営化を推し進めたサッチャー元首相の政策によって活況を呈したが、1990年代に入ると一転して不景気に陥った。

 ジョンソン市長は、自身とサッチャー氏とを比較しつつ「私の処方箋について、私がしようとしていることと、マギー(サッチャー氏の愛称)がやったであろうことと、(保守党のキャメロン)現政権の政策との間で、何やら混乱が起きているようだ」と指摘。サッチャリズムを「近代化」する必要があると主張し、次のように述べた。

「巨万の富を手にした者がホームレスの鼻先で札束をちらつかせるような、冷酷な精神が(英国)社会に再び広がることがないよう願っている。2010年代の経済成長は、純粋なコミュニティー精神や桁外れに大規模な慈善活動に特徴付けられるものであってほしい」

 さらにジョンソン市長は学校改革についても言及。「もっとも強力な学力向上のツールは、子供たち同士での競争だ」と述べて、選抜校制度の復活を訴えた。市長は保守党の党首の座を狙っていると目されており、保守党内のタカ派議員を意識したメッセージとみられる。(c)AFP