【11月28日 AFP】欧州単一通貨ユーロの導入を約1か月後に控えたラトビアのバルディス・ドムブロフスキス(Valdis Dombrovskis)首相(42)は27日、死者54人を出した首都リガ(Riga)でのスーパーマーケットの屋根崩落事故を受け、辞表を提出したと発表した。

 首相は、「この悲劇とそれに関連した全ての状況を見るに、議会の明確な支持を得た新たな内閣が必要だ。よって、私は辞表を提出した」と述べた。ただし、新政権の発足まで暫定首相として職務を継続する意向だ。

 首相の辞任は同時に事実上の内閣総辞職を意味するものだが、アンドリス・ベルジンシ(Andris Berzins)大統領は「週明けから新政権の組閣に向けた協議を開始したい」としており、すぐに選挙は実施しない考えを明らかにしている。次の議会選挙は、来年10月に実施される予定だ。

 11月21日に発生したスーパーマーケットでの事故は、同国で平時に起きた惨事としては過去最悪のもので、ラトビア全土に衝撃を与えた。

 首相の辞任は、事故の原因究明を求める圧力が高まる中、発表された。事故原因の議論で焦点となっているのは、建築時に規格外の資材が使われたのか、それとも、建築賞も受賞した建設プロジェクトに設計上の欠陥があったのか、という点だ。中央政府と市議会の双方が、それぞれ別個の原因調査を行うと表明している。

■ユーロ導入前に高まる政治不安

 バルト3国の1つであり、人口約200万人のラトビアは来年1月1日にユーロを導入する。国民には不評である一方、ドムブロフスキス首相は自らの政権による政策の基盤と位置付けていた。

 首相は27日、辞任の決意とユーロ導入は無関係だと強調。また、大統領から辞任を要求されたとの報道を否定した。一方、アナリストらは同日、首相の突然の辞意表明はユーロ導入を目前にした同国の政治不安を高めたに過ぎないとの見方を示している。(c)AFP/Mike Collier