【11月27日 AFP】米国防総省は26日、中国が防空識別圏(ADIZ)に設定した東シナ海(East China Sea)の空域を、米軍のB52戦略爆撃機2機が中国政府への事前通告なしに飛行したことを明らかにした。

 国防総省のスティーブン・ウォレン(Steven Warren)報道部長は報道陣に対し、非武装の戦闘機が25日に米領グアム(Guam)を離陸、後に同地に戻ったと発表。この飛行は同域における定期演習の一環で以前から予定されていたもので、中国当局に対しては事前に飛行計画を提出しておらず、訓練は「無事」遂行されたという。また同2機が防空識別圏内を飛行した時間は「1時間未満」で、中国機には遭遇しなかったと同報道部長は伝えている。

 国防総省の関係者は匿名を条件にAFPに対し、飛行した2機はともにB52爆撃機だったことを認めている。

 中国による防空識別圏の設定は、日本と中国との間で尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)をめぐる対立が続く中で発表された。設定された範囲には、台湾と韓国が権益を主張する水域も含まれているため、両政府も不快感を示している。

 中国が発表した規則では、防空識別圏を飛行する際には事前に飛行計画を提出し、機体に国籍を明示し、中国当局からの識別照会に応じるための双方向の無線通信を確保することが求められている。

 日本や米国をはじめとする複数の政府が、中国が主張するこの防空識別圏を痛烈に批判している。米国防総省は先に、米国は同域を国際空域とみなしており、米軍機はこれまで同様、中国に飛行計画を事前提出せずに飛行すると明言していた。(c)AFP